福祉や介護の現場では「リスクマネジメント」が頻繁に語られます。転倒を防ぐために段差をなくす、火傷を避けるために熱いものを持たせない、失敗が起きないように先回りして準備しておく…。もちろん安全を守ることは大切です。しかし、私はふと疑問に思うのです。「リスクを先回りしてすべて排除すること」が、本当にその人の成長や人生にとってプラスなのだろうかと。
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石ころにつまずくことの意味
私はよく子どもが石ころにつまずいて転ぶ場面を思い浮かべます。親としては、先に石を取り除いてあげたい。転んで泣く姿を見たくないのは当然です。でも、もし石ころをすべて取り除いてしまったら?
子どもは転んだ経験から「ここに気をつけよう」と学びます。擦りむいた膝を見ながら次はもっと注意して歩こうなど 小さな経験が、自分で考えたり、助けを求めたりする力を育てていくのではないでしょうか。
大人になってからも同じです。リスクを完全に排除された環境にいると、判断力や対応力を磨く機会がなくなります。安全に守られているけれど、同時に「生きる力」が削がれてしまう。これこそが、福祉の現場でも考えなければならない課題だと感じます。
就労継続支援B型で見えてくる“リスクと成長”
私たちが運営する就労継続支援B型事業所Lumoにも、多様な背景を持つ利用者さんが通っています。中には、これまでの人生で「失敗しないように」「迷惑をかけないように」と自分を押し殺して生きてきた方もいます。誰かに迷惑をかけないように振る舞うあまり、本当の自分を出すことができなくなっているのです。
そんな方に対して、もし私たちが「転ばないように」「間違えないように」と先回りしすぎたらどうなるでしょうか。きっとその方は「やっぱり自分は頼ってはいけない」「挑戦しなくてもいいんだ」と思い込んでしまいます。それでは、せっかくの成長の芽を私たち自身が摘んでしまうことになります。
任せてみる支援の大切さ
だからこそLumoでは、あえて「任せてみる」ことを意識しています。準備から片付けまで一人でできそうな方には、最初から最後まで任せてみる。途中でつまずいても構いません。わからないことがあれば、自分から質問に来てもらう。その一歩が「自分でやってみる」体験になります。
例えば、ある利用者さんに作業工程のすべてを任せてみたことがありました。最初は道具の片付けを忘れたり、手順を飛ばしたりしていましたが、少しずつ「この順番の方がやりやすい」と工夫するようになりました。その方の表情が少しずつ自信に変わっていったことを、私は今でも鮮明に覚えています。
“守ること”と“奪うこと”の境界線
もちろん、命に関わる危険は全力で防ぐ必要があります。鋭利な刃物を放置したり、衛生的に危険な状態を許したりすることは支援ではありません。けれども、多少の失敗や小さなつまずきまで全てを消してしまうことは、「経験する権利」を奪うことにもつながります。
支援の名のもとに、相手から学びのチャンスや成長の可能性を奪ってしまっていないか。これは私たち支援者が常に自問すべき問いだと思います。
リスクに立ち向かう力を育てる
リスクを排除することよりも、リスクに向き合う力を育てることの方が大切ではないでしょうか。転んでも立ち上がる力、わからないことを質問する勇気、失敗を次に活かす知恵。これらは、人生をより豊かにしていく力です。
就労継続支援B型の現場は、まさにその練習の場だと感じています。小さな失敗を積み重ねながら、自分なりのやり方を見つける。その中で「できた!」という実感を持つことが、次の挑戦へとつながっていきます。
問いかけ:あなたならどうしますか?
ここで少し立ち止まって考えてみてください。もし目の前に、転びそうな石ころがあったとしたら。あなたはその石を取り除きますか? それとも、あえて残しておきますか?
私たちLumoでは、すぐに答えを出すのではなく、共に考え、共に試しながら歩むことを大切にしています。支援する側とされる側という上下関係ではなく、同じ道を歩む仲間として、リスクとの向き合い方を模索していきたいのです。
まとめ|リスクを恐れず「やってみる」を応援する
就労継続支援B型事業所は、単なる作業の場ではありません。人としての成長や、自分を取り戻すきっかけの場でもあります。だからこそ、リスクをゼロにすることよりも、「やってみる」「つまずいてみる」という経験を応援したいのです。
リスクは本当に先回りで対処すべきなのか。その問いを胸に、私たちは今日も利用者さんと共に過ごしています。小さなチャレンジを積み重ねることで、自分らしく生きる力を取り戻す。その姿を一緒に喜び合える場所でありたいと願っています。
「失敗を恐れず、まずはやってみる」。
その大切さを、Lumoからこれからも発信していきます。

はじめまして、サービス管理責任者の本多 楓です
Lumo岡山東区店で働きはじめて わずか半年。
――その間に、利用者さんの「できる」を伸ばしながら 黒字化 という目標を達成しました。
定員20名なのに見学待ちの行列。
毎週のように「次、空きはありませんか?」とお問い合わせをいただき、嬉しい悲鳴をあげています。
どうして行列ができるの?
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“支え合う”という文化
ここでは「助ける/助けられる」ではなく、みんなが支え合うことを大切にしています。だからこそ、一人ひとりが自分らしく挑戦できる空気が生まれます。就労継続支援B型事業所_Lumo岡山東区店_岡山障害者就労支援株式会社 – -
仕事を“楽しく”設計
ゲーム実況やSNS運用、ものづくり作業など、得意を活かせる多彩なタスクを用意。「やってみたい!」が自然に湧きあがる現場です。 -
数字で見える成長
初月から工賃を可視化し、スタッフ・利用者さん・ご家族が同じゴールを共有。成果が見えるから、次のチャレンジが楽しみになります。
これからブログで発信すること
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利用者さんの成長ストーリー
小さな一歩が未来につながる瞬間をレポートします。 -
Lumo流“黒字化メソッド”
就労継続支援B型でもしっかり収益を上げる仕組みを公開。 -
地域を巻き込むアイデア
見学者の行列を“地域の魅力”に変える取り組みを紹介。
最後に
「みんな違って、みんながいい」そんな社会を、ここ岡山から広げていきたい――これは私の原動力であり、Lumoの未来です。ブログでも、現場で起きるリアルな“ありがとう”をたくさん綴っていきますので、どうぞお楽しみに!