2026年度に向けて、障害福祉分野では「処遇改善を後押しする増額」と「制度費用の増加に歯止めをかける見直し」が同時に語られています。
とくに就労継続支援B型(以下B型)は、報酬区分や加算の設計が運営に直結しやすい領域です。
本稿では、厚生労働省の会議・報告、自治体や団体の発信、専門媒体の分析などで示されている内容を、
「確定情報」と「検討段階の情報」に分けて、事業所運営者の目線でわかりやすく整理します。
※本記事は、いただいた原稿内容を読みやすく再構成したものです。制度は途中で要件や時期が修正されることがあるため、検討段階の項目は「まだ動き得る前提」でお読みください。
Contents
まず結論:B型に関係しそうな“二つの流れ”
2026年度に向けた議論は、大きく二つの方向に整理できます。
- 人材確保・処遇改善:賃上げを実現するための報酬・補助の手当て(増額・簡素化など)
- 制度費用の増加抑制:総費用や事業所増加が大きいサービスへのブレーキ(新規指定の報酬引下げ等)
ここで一つ問いかけです。
「報酬が上がるなら安心」でしょうか。実際は、増える部分と締まる部分が同時に来る可能性があります。
だからこそ、情報を“混ぜない”ことが重要です。次章から、確定と検討を分けて見ていきます。
【確定情報】2026年度に向けて決まっている(と整理されている)事項
2026年度 障害福祉サービス報酬改定:改定率+1.84%(2026年6月施行)
原稿では、令和8年度の報酬改定率が+1.84%(2026年6月施行)として整理されています。
さらに、従事者の賃上げ分として+1.84%(月額1.0万円相当、3.3%)が盛り込まれ、
生産性向上の取組事業者への上乗せ分(0.3万円相当、1.0%)を合わせて、最大6.3%の賃上げが見込まれるという整理です。
B型の現場感覚で言えば、ここは「単価が上がる」以上に、採用・定着の競争条件が変わる話でもあります。
賃上げの原資が手当てされるなら、次は「どう配分し、どう説明し、どう定着につなげるか」が問われやすくなります。
「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」:6か月分の賃金補助
原稿では、令和7年度補正予算で「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」が創設され、
6か月分の賃金補助が実施される、という整理になっています。
「人材確保・処遇改善が喫緊の課題」というメッセージ性も強い施策として位置づけられています。
【検討段階】方向性は示されているが、要件や時期が動き得る事項
2026年6月の「臨時改定」案:新規指定事業所の基本報酬を引き下げ
原稿では、2026年6月に臨時的な報酬改定を行い、新規指定事業所に限って基本報酬を引き下げる方針が示されたと整理されています。
対象は、一定の条件(年間総費用額の増加、収支差率、事業所数増加など)を満たす主に4サービスで、
B型、グループホーム、児童発達支援、放課後等デイサービスが含まれる想定とされています。
重要なのは、ここが「B型全体の一律引下げ」ではなく、“新規だけ”に焦点が当たっている点です。
既存事業所は据置が見込まれる一方、新規は初年度から厳しめの単価設計になる可能性があります。
そして背景として、2024年度改定後の総費用が大きく増えた(原稿では12.1%増、約4.18兆円)という整理があり、
「制度費用の急増に歯止めをかける」狙いとされています。
B型の基本報酬「単価区分の細分化」案:上位区分に新区分を追加
原稿では、B型の基本報酬が現行8区分であること、
そして2024年度改定で平均工賃の算定方式が変わった影響で「高い区分に入る事業所が増えた」ため、
さらに区分を細分化する案が検討されている、と整理されています。
具体像としては、上位区分(1~7区分)の間に新区分を追加するイメージで、
区分が上がっていない事業所は変更対象外、区分が下がる場合でも減少幅は「数%」程度に抑える配慮が示されている、という整理です。
適用時期は2026年6月予定とされています。
ここはB型の“経営の核心”に触れます。
工賃は支援の成果でもありますが、同時に「説明責任」でもあります。工賃の算定・根拠の伝え方が、
これまで以上に運営の安定性に影響しやすくなるかもしれません。
就労移行支援体制加算の見直し:算定人数に上限を設ける案
B型を含む利用者の一般就労移行者数に応じて加算する「就労移行支援体制加算」について、
悪用事例への対策として、1事業所で算定できる人数に上限を設ける案が示されている、という整理です。
改定時期は2026年4月が想定されている、とされています。
加算は「取りにいくもの」になりやすい一方で、本来は「移行の質」を担保するための仕組みでもあります。
上限設定が来るなら、数だけでなく移行のプロセス(アセスメント・定着支援・関係機関連携)がより重要になっていきます。
人材確保・処遇改善:加算の一本化・簡素化など
原稿では、賃金上昇を踏まえた人材確保策として、
処遇改善加算の一本化・簡素化、対象サービスの追加、相談支援人材確保策、治療と仕事の両立支援などが
検討項目として整理されています。
現場からすると「書類が減る」だけでも価値がある一方、
一本化は「算定要件の厳格化」とセットになる可能性もあります。
つまり、簡素化=楽になると決めつけず、
どんな管理・証跡が求められるかを見ていく必要があります。
障害福祉計画(基本指針)見直し:第8期(令和9~12年度)に向けた動き
原稿では、第8期計画(令和9~12年度)に向けた基本指針が見直され、
令和8年3月に公示予定とされています。
新指針では「障害福祉人材の確保・定着、生産性向上に関する考え方」が新設されるなど、
人材面の強化が明記される方向、と整理されています。
これは“来年度の単価”というより、数年かけて業界の基準が変わるサインでもあります。
その変化に合わせて、B型も「職場づくり(働きやすさ・育成・ICT)」が評価に結びつく時代に入っていくかもしれません。
新サービス「就労選択支援」:2025年10月施行(制度創設は確定)
原稿では、法改正で創設された新サービス「就労選択支援」が2025年10月から施行予定であることは確定事項として整理されています。
一方で、円滑な導入に向けた人員配置・要件・対象者などは、審議や準備の中で具体化が進む領域です。
また原稿では、岡山県レベルでも指定申請・開始時期の調整が進み、
B型等の事業所のうち一定数が指定申請を予定し、2025年10月開始を予定しているという調査結果が紹介されています。
B型にとっては、ここが大きな分岐点になり得ます。
「うちはB型だから関係ない」ではなく、利用者さんの選択に寄り添うための連携が求められる可能性があります。
相談支援、就労移行、A型、企業、医療——つながり方が問われていきます。
自治体・関係団体の動き:地域差が“そのまま経営差”になり得る
岡山県:処遇改善の緊急支援(独自施策)の見込み
原稿では、岡山県が人材確保策として、障害福祉従事者の処遇改善に関する緊急支援の補助金を実施する見込みが整理されています。
報酬改定で期待される賃上げまでの“つなぎ”として、B型事業所職員を含む従事者に月額1.0~1.3万円程度の賃上げを支援する内容、という整理です。
同じ制度改正でも、自治体の上乗せや運用で「体感」は変わります。
国の話だけ追っていると、地域のチャンス(あるいは条件)を見落とすことがあるので、
県・市の公表資料は定期チェックが安全です。
東京都:新規事業所への報酬引下げに反対要望
原稿では、東京都が2025年12月に、来年度臨時改定に伴う新規事業所への報酬一律引下げに反対し、
国へ要望書を提出したという動きが整理されています。
「計画期間中の方針変更は支援体制整備を阻害し得る」「地域格差を生む恐れ」などの論点が示されています。
ここは、制度が“固まる前”に意見が出る典型例です。
反対・賛成どちらが正しいという話ではなく、制度は現場と行政の綱引きで形が変わることがある、という理解が役に立ちます。
事業者団体:B型の評価軸(利用時間評価など)への意見
原稿では、就労支援関連団体が令和9年度報酬改定に向けた要望書を提出し、
B型報酬の「利用時間評価」導入反対など、運営に直結する論点を示していると整理されています。
【運営者視点】B型は何に備えるべきか:影響ポイントを“行動”に落とす
1) 新規開設・多拠点展開を考えるなら「初年度の厳しさ」を前提に
臨時改定案が現実になれば、新規指定は基本報酬が低くなる前提で事業計画を組む必要が出てきます。
「箱を作れば利用者が来る」という感覚では成立しにくくなる——原稿が紹介している分析は、まさにそこを指摘しています。
- 資金繰り:初年度の単価が低い場合の損益分岐を再計算
- 差別化:工賃だけでなく、定着・生活面支援・地域連携など“選ばれる理由”を言語化
- 品質:支援記録、個別支援計画、アセスメントの精度が重要になりやすい
2) 工賃・区分は「上げる」だけでなく「説明できる」ことが強みになる
区分細分化が検討されている以上、「上位区分に入るか」だけでなく、
なぜその工賃になるのかを利用者さん・家族・相談支援・監査に説明できる力が、運営の安定に直結しやすくなります。
- 工賃の算定根拠を、月次で“見える化”する(数字の棚卸し)
- 作業・受注のポートフォリオを点検する(偏りのリスク管理)
- 「生産性」と「本人の納得」の両立を、支援計画に落とす
3) 加算は「制度対応」ではなく「支援の再設計」から逆算する
就労移行支援体制加算の見直し(上限設定)が検討されるなら、
“加算を取る”より先に、移行のプロセスを整えることが近道になります。
- 一般就労に近い人だけを集めるのではなく、段階設計(訓練→実習→面接→定着)を作る
- 相談支援・ハローワーク・企業・医療との連携ルートを固定化する
- 移行が難しい人にも「その人に合う働き方」を増やす(B型の価値の再確認)
4) 処遇改善は「賃上げ」だけで終わらせない
処遇改善は、賃金を上げるための仕組みであると同時に、
“人が残る職場”を作るための仕掛けでもあります。
もし加算が一本化・簡素化されるなら、ルールが変わる前に運用を整えるほうが安全です。
- 評価・面談・キャリアパスを、無理のない形で定着させる
- 業務の棚卸しで、記録・会議・連絡のムダを減らす
- ICT活用は「導入」より「使い切る」が重要(現場で回る形にする)
まとめ:B型が“今”やっておくと安心なチェックリスト
最後に、2026年度に向けてB型が押さえておきたい準備を、実務に落とした形でまとめます。
「全部やる」ではなく、優先順位をつけて一つずつで大丈夫です。
- 情報整理:確定と検討を分けて、職員間で共有できるメモにする
- 経営シミュレーション:単価が動いた場合の影響(特に新規・拠点追加)を試算する
- 工賃・区分の点検:算定根拠と説明資料を整える(監査・家族説明にも使える形に)
- 移行・連携:就労選択支援も含め、相談支援や関係機関との連携ルートを確認する
- 処遇改善の土台:賃上げの配分だけでなく、定着(面談・育成・業務整理)まで設計する
- 自治体施策:県・市の補助や運用方針を、定期的にチェックする
制度が変わるとき、現場は「対応」に追われやすくなります。
でも、本当に大切なのは、制度に振り回されずに利用者さんの選択肢と、職員の働き続けやすさを守ることかもしれません。
そのために、まずは“確定”と“検討”を分けて、落ち着いて準備していきましょう。

はじめまして、サービス管理責任者の本多 楓です
Lumo岡山東区店で働きはじめてわずか半年。
――その間に、利用者さんの「できる」を伸ばしながら黒字化という目標を達成しました。
定員20名なのに見学待ちの行列。
毎週のように「次、空きはありませんか?」とお問い合わせをいただき、嬉しい悲鳴をあげています。
どうして行列ができるの?
- “支え合う”という文化
ここでは「助ける/助けられる」ではなく、みんなが支え合うことを大切にしています。
だからこそ、一人ひとりが自分らしく挑戦できる空気が生まれます。
▶ 就労継続支援B型事業所 Lumo岡山東区店(公式サイト)
- 仕事を“楽しく”設計
ゲーム実況やSNS運用、ものづくり作業など、得意を活かせる多彩なタスクを用意。
「やってみたい!」が自然に湧きあがる現場です。 - 数字で見える成長
初月から工賃を可視化し、スタッフ・利用者さん・ご家族が同じゴールを共有。
成果が見えるから、次のチャレンジが楽しみになります。
これからブログで発信すること
- 利用者さんの成長ストーリー:
小さな一歩が未来につながる瞬間をレポートします。 - Lumo流“黒字化メソッド”:
就労継続支援B型でもしっかり収益を上げる仕組みを公開。 - 地域を巻き込むアイデア:
見学者の行列を“地域の魅力”に変える取り組みを紹介。
最後に
「みんな違って、みんながいい」――
そんな社会を、ここ岡山から広げていきたい。
これは私の原動力であり、Lumoの未来です。
ブログでも、現場で起きるリアルな“ありがとう”をたくさん綴っていきますので、どうぞお楽しみに!