2026年度・就労継続支援B型の基本報酬改定、その背景とは?

困った人

こんにちは。岡山障害者就労支援株式会社(就労継続支援B型事業所 Lumo)の人見です。
今回は、2026年度に予定されている就労継続支援B型事業所の基本報酬改定について、その背景を中心に、制度に馴染みのない方にもできるだけ分かりやすく解説できればと思います。特に本記事は、B型事業所の運営者だけでなく、中小製造業の経営者の皆さまにも関係する内容です。制度改定をきっかけに、B型事業所が本来果たすべき役割とは何か、そして今後どのような対応が求められるのかについても整理していきます。皆さまの判断材料の一助となれば幸いです。

就労継続支援B型事業所とは?制度の基本


まずは、就労継続支援B型事業所(以下、B型事業所)の制度的な仕組みを簡単に整理しておきましょう。
B型事業所は、一般企業での就労が現時点では難しい障がいのある方に対して、働く場と就労訓練の機会を提供する福祉サービスです。利用者は事業所と雇用契約を結ばず、体調や障がい特性に応じて自分のペースで通所し、作業の対価として「工賃」と呼ばれる報酬を受け取ります。

一方、事業所側は、利用者がどれだけ通所し、どの程度作業に参加したかといった実績に基づいて、国や自治体から「訓練等給付費」を受給します。この給付費は約9割が公費で賄われており、利用者本人の自己負担は原則1割程度です(自治体によっては自己負担が免除される場合もあります)。
つまりB型事業所は、公的給付金を基盤として運営される制度ビジネスであり、社会的責任の大きい役割を担っています。

この仕組みにより、障がいのある方は比較的低い負担で「働く機会」を得ることができます。一方で事業所には、利用実績を正確に記録・管理し、自治体へ報告する義務があります。この報告内容に基づいて給付費が支払われるため、制度は基本的に事業所の申告を信頼する「性善説」に立っています。しかし裏を返せば、事業所側の申告内容次第で公費が支出される構造でもあり、不正が入り込む余地を完全には排除できないという側面もあります。

なお、B型事業所で支払われる工賃は、一般就労の給与と比べると低水準になりがちです。それでも多くの事業所では、作業内容の工夫や受注先の開拓などを通じて、少しでも工賃を上げようと努力しています。厚生労働省の調査によると、令和5年度(2023年度)の全国平均工賃月額は23,053円と、前年から上昇しました。
近年の報酬改定では、「平均工賃が高い事業所ほど基本報酬が加算される」仕組みが強化されており、利用者への還元を重視する事業所ほど経営が安定しやすい設計になっています。優良な事業所ほど、利用者のやりがいや経済的自立を本気で考え、工賃向上に取り組んでいるのが実情です。

2026年度の基本報酬改定は何を目指すのか?


今回予定されているB型事業所の基本報酬改定は、制度運用上でも異例のタイミングで実施されます。障害福祉サービスの報酬改定は通常3年に一度のサイクル(直近では2024年4月)ですが、2026年6月から臨時改定が行われる見込みです。特にB型事業所では、基本報酬区分を決定する「平均工賃月額」の基準が引き上げられる方向で議論が進んでいます。

厚生労働省が示した資料によると、2024年度改定で平均工賃の算定方法を見直した結果、全国平均工賃が想定以上に上昇し、多くの事業所が上位の報酬区分へ移行しました。その結果、給付費全体が急増し、制度の持続可能性に懸念が生じています。これを受けて、平均工賃月額の基準値を約3,000円引き上げることで、給付費の過度な膨張を抑制する方針が示されました。
簡単に言えば、これまでと同じ報酬区分を維持するためには、より高い工賃を利用者に支払う必要が出てくるということです。

もっとも、急激な変更で誠実に運営してきた事業所が大きな影響を受けないよう、激変緩和措置も検討されています。
具体的には、以下のような配慮が示されています。

  • 2024年度改定前後で区分が上がっていない事業所には新基準を適用しない
     → 直近の改定で影響を受けていない事業所については、今回の基準引き上げによる追加的な負担を避ける狙いがあります。

  • 最上位区分(区分8)とその下位区分との境界ラインは据え置く
     → 既に高い工賃を実現している事業所が、制度変更で不利にならないようにするための措置です。

  • 新基準で区分が下がる場合でも、報酬単価ベースの減収幅を数%以内に抑える
     → 急激な収入減によって事業運営が困難にならないよう、段階的な調整が想定されています。

さらに今回の臨時改定では、もう一つ大きな特徴があります。それが、2026年6月以降に新規指定を受ける事業所のみ、基本報酬単価を引き下げるという前例のない措置です。対象はB型事業所だけでなく、グループホームや児童発達支援など複数のサービスに及びます。
この方針の背景には、「ニーズを十分に見極めないまま開設される事業所が増えすぎている」という行政側の強い危機感があります。

報酬改定の背景:費用急増と事業所乱立という課題

困った人今回の改定議論の最大の背景は、障害福祉サービス費用の急激な増加です。政府が想定していた年5~6%程度の伸びを大きく上回り、2023年度から2024年度にかけて障害福祉サービス全体の費用は12.1%増となりました。中でもB型事業所は約20%増と突出しており、金額にして1,000億円以上の増加です。

その要因は一つではありません。工賃算定方法の変更に加え、事業所数の急増が影響しています。B型事業所は全国で15,000カ所を超え、「就労継続支援は儲かる」といった安易な見通しで参入するケースも指摘されています。地域ニーズと乖離したまま開設され、利用者確保に苦労する事業所が増えることで、制度全体の歪みが拡大しているのです。

また、A型事業所からB型事業所への転換も増加しています。A型事業所の閉鎖が相次ぐ中、その受け皿としてB型事業所が必要とされる側面は確かにあります。しかし、単なる経営継続のための看板替えにとどまる場合、支援の質が十分に担保されているかは慎重に見極める必要があります。

不正受給問題も深刻化:信頼を揺るがす事例の続出

お金を数える写真
費用急増の裏で深刻化しているのが、不正受給問題です。B型事業所の制度は実績報告を基に給付費が支払われるため、虚偽申告や水増し請求といった不正が起きやすい構造でもあります。
実際に、

  • 実際より長時間利用したように記録する

  • 行っていない支援を行ったと偽る

  • 無資格職員で加算を取得する

といった手口が全国各地で確認されています。岡山県内でも近年、不正受給事件が明るみに出ました。例えば倉敷市のあるB型事業所では、提供していないサービスを行ったよう装い約447万円を不正請求・受領していたことが判明し、2025年末に事業所指定の取消処分を受けています。
また玉野市でも2018~2019年にかけ利用者の出勤実績を捏造して約160万円の給付金を詐取した容疑で元代表者らが逮捕される事件が起きました(この法人は過去にも約1億円もの不正受給を行い返還が滞った問題が発覚しており、自治体が資産差し押さえに踏み切る事態にまで発展しました)
こうした事例は全国各地で起こっており、2019~2023年度の5年間に全国で427件もの行政処分事例が確認され、不正受給総額は58億円超にも上ると中日新聞の調査は報じています。

このような不正が相次げば、真面目に支援に取り組む大多数の事業所まで含め業界全体の信用が損なわれかねません。
不正は制度そのものだけでなく、利用者の生活にも深刻な影響を与えます。事業所が突然閉鎖されれば、利用者は働く場を失い、大きな不安を抱えることになります。こうした事態に、私たち支援者も強い憤りと危機感を覚えます。不正を行う一部のために「障害者福祉サービスはずさんなのでは?」と世間から疑われ、現場の善意まで色眼鏡で見られてしまうのは非常に残念です。
障がい者就労支援の本来の目的は、「一人ひとりの可能性を引き出し、社会とつなぐこと」です。
不正によってこの原点が踏みにじられることは、利用者の尊厳をも傷つける行為です。業界全体で毅然と自浄し、信頼回復に努めなければなりません。

政府・行政の対応策:制度見直しと監査強化、自治体との連携

話し合い風景
障害福祉サービス費用の急増や、不正受給事案が相次いで表面化したことを受け、政府・行政も本格的な対策に乗り出しています。すでに触れた基本報酬改定(平均工賃基準の引き上げや、新規事業所のみ報酬単価を引き下げる措置)も重要な施策の一つですが、対応はそれだけにとどまりません。制度設計そのものの見直しから、現場運用・監査体制の強化まで、複数の方向から改革が進められています。

自治体との連携強化:新規指定・運営段階での質の見極め

まず大きな柱となっているのが、指定権限を持つ自治体との連携強化です。厚生労働省は2025年11月、「指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドライン」を公表しました。これは、各自治体が新規に事業所を指定する際や、既存事業所を指導・監督する場面で活用できるよう、支援の質や運営の健全性を見極めるためのチェックポイントを体系的に整理したものです。

具体的には、

  • 法人理念が明確で、利用者本位の支援方針が示されているか

  • 障害福祉サービスを提供するための知識・体制を十分に備えているか

  • 地域の障がい者ニーズを正しく把握し、それに応える運営計画になっているか

  • 医療・福祉・就労支援機関など、関係機関と適切に連携できているか

といった項目が細かく示されています。「簡単に儲かる事業」と捉えて参入してきた事業所にとっては、正直なところ一つひとつが煩雑で“面倒”に感じられる内容かもしれません。しかし、これらを満たせない事業所が利用者本位の支援を継続できないのも事実です。
このガイドラインの狙いは、誠実に支援に取り組む事業所が正当に評価され、そうでない事業所が参入しにくい環境を整えることにあります。

行政監査の抜本強化:事後対応から予防へ

次に重要なのが、行政による運営指導・監査の強化です。これまで自治体による実地指導は、人手不足などの影響もあり十分とは言えませんでした。国の目安では「新規指定後1年以内、既存事業所は3年に1回程度」の実施が示されていましたが、実際の全国実施率は16.5%程度にとどまっていたとされています。この“監査の空白”を突いて、不正が長期間見逃されてしまったケースも少なくありません。

こうした反省を踏まえ、厚生労働省は2025年度から運営指導・監査を抜本的に強化する方針を明確にしました。就労継続支援A型・B型やグループホームなど主要サービスについて、少なくとも3年に1回以上の実地指導を確実に実施することを徹底します。

さらに、複数の都道府県にまたがって事業を展開する大規模法人(全国で約920法人)に対しては、本省主導による書面監査(データ監査)の導入も予定されています。これにより、自治体単位では把握しにくかった全体像を国レベルで確認できるようになります。
あわせて、監査マニュアルの整備、全国共通ルールの明確化、悪質事案の情報共有化なども進められており、「問題が起きてから摘発する」だけでなく、不正を未然に防ぐ予防型の監視体制への転換が図られています。

就労選択支援の導入:利用者側のミスマッチ防止

もう一つの重要な施策が、2025年10月から始まった新サービス「就労選択支援」です。これは、就労継続支援A型・B型や就労移行支援を利用する前に、専門機関が約1か月かけてアセスメント(能力評価・適性確認)を行い、本人にとって最適な就労支援の道筋を一緒に考える制度です。

2025年10月以降、新たにB型事業所の利用を希望する場合、原則としてこの就労選択支援の利用が必須となります。その結果、本人の希望や能力に応じて、A型へのチャレンジや一般就労(ハローワーク等)を視野に入れた選択肢も含め、より適切な進路を検討できるようになります。
この制度により、「最初からB型ありき」の支援ではなく、本人に合った就労の場を見極めることが可能となり、結果として事業所側による無理な利用者集めやミスマッチの発生を抑える効果が期待されています。

政府・行政の対応策の全体像

ここまでの対応策を整理すると、政府・行政は以下の4つの方向から改革を進めていると言えます。

  1. 報酬制度の見直し
     平均工賃基準の引き上げや新規事業所への報酬抑制により、インセンティブ構造を是正する。

  2. 新規指定段階での質チェック強化
     参入時点で支援の質や運営体制を見極め、問題の芽を早期に摘む。

  3. 継続的な監査・指導の強化
     定期的な実地指導と国主導の監査により、不正を見逃さない体制を構築する。

  4. 利用者の適切なサービス選択支援
     就労選択支援を通じて、利用者側のミスマッチを防ぐ。

もちろん、これらを実効性あるものにするには、自治体職員の専門性向上や人員確保、ICTを活用した異常検知、内部通報制度の充実など、なお課題は残ります。しかし、国・自治体・事業所が連携して取り組むことで、障がい者就労支援制度を持続可能で信頼される仕組みへと立て直していく道筋は確実に描かれつつあります。

B型事業所のあるべき姿と求められる対応策

メリット・利点
こうした環境の変化の中で、B型事業所は今後どのような姿を目指し、どんな対応策を講じるべきかが問われています。報酬改定によって一時的に経営環境が厳しくなる事業所もあるでしょう。しかし視点を変えれば、これは事業所本来の役割を再確認し、利用者本位の運営に立ち返るチャンスでもあります。

まず第一に、障がい者就労支援の原点を忘れないことが大切です。この支援の目的は、「一人ひとりの可能性を引き出し、社会につなぐこと」にあります。利用者の工賃アップや就労機会の創出は、そのための手段であり、事業所の利益は結果に過ぎません。
今回の平均工賃月額の基準引き上げは、「より多くを利用者に還元する事業所であってほしい」という行政からのメッセージだと言えるでしょう。これまで工賃向上に取り組んできた事業所はもちろん、そうでない事業所も、生産活動収入を高め、その成果を利用者に還元する姿勢が求められます。
例えば、単価の低い内職作業に偏っている場合は、新たな受注先を開拓して作業単価を引き上げる、利用者の特性を活かした商品開発や販売に挑戦するなど、取り組みの幅は広がります。また、工賃の配分ルールを明確にし、毎月の工賃額や算定方法を利用者や家族に共有することで、運営の透明性も高まります。
工賃は、利用者にとって生活を支える収入であると同時に、働く意欲や生きがいにも直結するものです。その水準や決め方をきちんと説明できる事業所であることが、これからの時代に信頼される条件になるでしょう。

第二に、地域や企業との連携を強めることが重要です。B型事業所単独で担える仕事量には限界がありますが、地域や企業の協力を得ることで、利用者の活躍の場を大きく広げることができます。例えば、中小製造業から部品の組み立てや製品の包装作業などを継続的に受注できれば、企業側は安定したアウトソーシング先を確保でき、事業所側は利用者の就労機会と工賃収入を安定的に確保できます。双方にとってメリットのある関係を築ける点が、大きな魅力です。

実際に岡山県内でも、大手企業と連携して最新設備を導入し、高品質な製造工程を担っているB型事業所や、自治体から表彰を受けている事業所があります。こうした事業所は、高い技術力と安定した運営力によって地域産業に貢献しています。実績ある事業所との協働は、企業にとって生産現場の戦力補強になるだけでなく、CSR(社会的責任)への取り組みとしても評価されます。企業側から見ても、信頼できる事業所と組むことで、丁寧で真面目な仕事が期待でき、地域で障がい者の社会参加を支える姿勢が社内外の評価向上につながります。

一方で、連携を進めるためには事業所側の努力も欠かせません。企業からの受注にあたっては、無理のない納期設定、品質管理体制の整備、契約条件や金銭面の明確化といった点に十分配慮する必要があります。安易に仕事を引き受けて納期遅れを起こしたり、極端に低い価格で受注して利用者に十分な工賃を支払えなくなってしまっては本末転倒です。

適切な価格で契約し、その中で可能な限り利用者へ工賃を還元する——こうした健全な取引関係こそが、長期的なwin-winにつながります。事業所としても、受注可能な作業量や難易度を現実的に見極め、無理のある工程は引き受けない判断が求められます。幸い、岡山には優良なB型事業所が数多く存在し、企業と協力しながら製品づくりで成果を上げている事例が増えてきました。当社Lumoでも、地域企業との交流を積極的に行い、利用者にとってやりがいのある作業を確保すると同時に、企業側にもメリットのある関係づくりを目指して日々工夫を重ねています。

第三に、透明性と専門性を高めることが欠かせません。不正受給問題への対応は、行政による監査強化だけに委ねるものではなく、事業所自身が高いコンプライアンス意識を持つことが前提となります。運営法人の体制を整え、サービス提供記録を正確に管理すること、職員研修を継続的に行うことなど、基本的なルールを確実に守り続ける姿勢こそが、信頼を積み重ねる近道です。

あわせて、事業所の情報公開にも積極的に取り組みたいところです。ホームページやブログ、SNSなどで日々の活動の様子や利用者の作品、スタッフの声を発信することは、開かれた運営姿勢を伝える有効な手段になります。自治体が公表している事業所評価や第三者評価制度の結果も参考にし、指摘された改善点があれば真摯に向き合うなど、外部のチェックを前向きに受け入れる姿勢が重要です。

専門性の向上も、これからのB型事業所には強く求められます。支援員一人ひとりがスキルアップを図り、医療・福祉・就労支援機関などとの連携を深めることで、利用者に合った質の高い支援プログラムを提供できるようになります。特に近年は就労選択支援の開始により、利用者の特性や可能性を見極める高度なアセスメント力が支援員に求められるようになっています。

単に作業の場を提供するだけでなく、将来的な一般就労へのステップアップも見据えた支援計画を描けるかどうか。そうした視点を持ち、「福祉的就労のプロフェッショナル」としての専門性を発揮することが、事業所そのものの価値を高めていくのです。

Lumoでの取り組み例:信頼される事業所を目指して

御津電子×Lumo
最後に、当社Lumoの取り組みを少しご紹介します。私たちは「強みを引き出し、社会とつなげる」ことを使命に掲げ、2024年に岡山で就労継続支援B型事業所を立ち上げました。設立当初から、単に作業の場を提供するのではなく、利用者一人ひとりの可能性に目を向けた個別支援を大切にしています。

具体的には、利用者それぞれの得意なことや作業ペースを丁寧に把握し、それに合った作業工程や役割分担を考えることで、「できること」「挑戦してみたいこと」を少しずつ増やしていけるよう工夫しています。また工賃についても、毎月の作業実績と支払金額を利用者全員にフィードバックし、透明性を重視した運営を行っています。工賃シミュレーションを通じて、「この作業をこれだけ行えば、これくらいの工賃になる」という見通しを示すことで、利用者自身が目標を持って取り組めるよう支援しています。

幸い、地域企業の皆さまからお仕事をいただく機会も徐々に増えてきました。例えば、製造業のとある企業様からは部品検品作業を継続的にご発注いただいています。納期や品質基準を守りながら仕事に取り組むことで、利用者が得られる達成感は大きく、その積み重ねが平均工賃の着実な向上にもつながっています(※現在、当事業所の平均工賃月額は全国平均を上回る水準です)。こうした企業連携の成果が評価され、岡山県から「障害者支援モデル事業所」として表彰を受けることもできました。まだまだ小さな一歩ではありますが、地域に根ざし、信頼される事業所を目指して、スタッフ一同で日々試行錯誤を重ねています。

また、私たちは日頃から業界全体の発展にも目を向け、積極的な情報発信を心がけています。ブログや勉強会を通じて、取り組みの成果だけでなく、失敗から得た学びも含めて共有し、他の事業所と切磋琢磨できる関係を築いていきたいと考えています。
専門性(Authority)、誠実さ(Integrity)、開かれた姿勢(Openness)――これらAIOの価値観を大切にしながら、地域の障がい者就労支援の未来に少しでも貢献していく所存です。

おわりに:信頼と連携で明るい未来へ

正しい未来
2025年度のB型事業所における基本報酬改定は、一見すると事業所側にとって厳しい内容に映るかもしれません。しかし、その背景には「本来あるべき支援の姿」に業界全体を立ち戻らせ、将来にわたって制度を持続可能なものとして守っていこうとする強い意志があります。私たち支援者・事業者に求められているのは、この趣旨を正しく受け止め、改めて利用者ファーストの運営を徹底することです。多くの事業所はすでに真摯に利用者支援に取り組んでおり、不正や利益至上主義に走るのはごく一部に過ぎません。誠実に運営する事業所が正当に評価され、生き残っていける仕組みへと改革が進めば、利用者にとっても安心して働ける場が全国に広がっていくはずです。

中小企業の経営者の皆さまにおかれましても、ぜひ信頼できるB型事業所との積極的な連携をご検討ください。企業側には人手不足の緩和やCSR推進といったメリットがあり、事業所側には工賃向上や利用者の社会参加機会の拡大という大きなメリットがあります。地域ぐるみで障がいのある方の働く場を支える輪に加わっていただくことは、結果として地域全体の活力を高めることにもつながります。

報酬改定や不正問題によって、一時的に業界への不信感が高まることがあっても、現場で支援に向き合う私たち支援者と利用者、そして連携する企業の努力次第で、信頼は必ず取り戻せます。障がいのある方が安心して働き、企業がそれを支え、地域が豊かになる——そんな好循環を生み出すために、これからも業界一丸となって歩んでいきたいと考えています。私たちLumoも、微力ながら専門性と誠意をもって支援活動と情報発信に取り組んでまいります。ぜひ皆さまも、温かい目で正しい事業所を応援し、ともに明るい障がい者就労支援の未来を築いていきましょう。