就労継続支援B型の現場では、利用者さんのために一生懸命動いているつもりでも、実は相手を戸惑わせたり、不安にさせてしまうNG行為が紛れ込んでしまうことがあります。
本記事では、就労継続支援事業所で起こりがちな3つのNG行為を取り上げます。
そして、支援員個人の「気合いや意識」だけに頼るのではなく、「人は忘れる」「支援員も揺らぐ」という前提で、どう仕組みを整えていくかを一緒に考えていきます。
就労継続支援B型の管理者・サービス管理責任者・支援員の方はもちろん、福祉の仕事に興味がある方にも読んでいただける内容になっています。
Contents
就労継続支援B型の現場で起こる「見えにくいNG行為」とは

まず最初にお伝えしたいのは、ここで挙げるNG行為は、「意地悪をしようとしてやっている」のではなく、人間だからこそ起こる現象だということです。
就労継続支援B型の現場では、こんなことが同時進行で起きています。
- 作業の段取りや検品の確認
- 利用者さんからの相談や質問への対応
- 電話や来客の対応
- 記録・モニタリング・個別支援計画の見直し
- 行政や相談支援専門員への報告・連絡・相談
- 他スタッフとの情報共有・会議・打ち合わせ
これだけ多くのタスクが同時に発生すれば、「忘れる」「ズレる」「後回しにしてしまう」ことは、ある意味で当然とも言えます。
問題なのは、ミスが起きたことそのものではなく、
- そのNG行為が利用者さんにどう影響するかをイメージできているか
- ミスを前提にして仕組みやルールを整えているか
という視点を、事業所全体で持てているかどうかです。
「支援員だからできて当然」「プロだから忘れてはいけない」という常識が強すぎると、個人を責める方向に行きやすくなり、結果として現場全体の安心感が下がってしまうこともあります。
ここからは、就労継続支援B型の現場で起こりがちな3つのNG行為を、順番に見ていきましょう。
NG行為1:「ちょっと待ってください」と言ったまま、忘れてしまう

よくある場面――悪気はないのに、約束を守れない
就労継続支援事業所では、利用者さんから突然こんな声がかかることがあります。
- 「ちょっと相談したいことがあって…」
- 「今日の帰りの送迎のことで聞きたいです」
- 「作業のやり方、もう一回確認してもいいですか?」
しかしそのタイミングで、
- 別のスタッフから呼ばれる
- 電話が鳴る
- 来客対応が入る
こうしたことは日常茶飯事です。
そこでつい、
- 「今、ちょっとだけ待ってくださいね」
- 「あとでゆっくり聞きますね」
と伝えたまま、別の対応に追われて記憶から抜け落ちてしまう。
支援員側からすると、「あっ、忘れてた!」と気づいたときには、すでに時間が経っている…そんな経験はないでしょうか。
利用者さんから見ると、何が起きているか
支援員にとっては「忙しくて忘れてしまっただけ」でも、利用者さんの心の中では別の物語が進んでいます。
- 「自分の話は、優先度が低いんだな」
- 「迷惑をかけてしまったのかな。次からは言うのをやめておこう」
- 「“あとで”って言われても、本当に来てくれるのかな…」
過去に「頼った相手に裏切られた経験」がある方ほど、「あ、やっぱり信じない方がいいかもしれない」という気持ちが強くなってしまうかもしれません。
たった一度の「ちょっと待ってください」の放置が、「この事業所は信頼していい場所かどうか」という評価に結びついてしまうこともあります。
忘れる前提で仕組みをつくる:現場でできる工夫
人は忘れます。支援員も例外ではありません。
だからこそ、就労継続支援B型の現場では「忘れても思い出せる仕組み」を意識的につくる必要があります。
- 「ちょっと待ってください」と言った瞬間にメモする
紙のメモでも、タブレットでも構いません。
「Aさん 送迎相談」「Bさん 通所について相談」など、一言だけでも記録する習慣をチームルールにします。 - 時間を具体的に伝える
「あとで」ではなく、「10時30分になったらもう一度来ますね」「午後の作業が落ち着く14時ごろ、お話ししましょう」と時間を区切って約束します。
それによって、支援員自身も思い出しやすくなります。 - 終礼で「やり残しゼロ確認」の時間を設ける
終業前に5~10分だけ、「今日『あとで行きます』と言ったままのことはないか」を確認する時間をつくる。
もしあれば、翌日の朝礼で共有し、「今日は最優先で対応しよう」とチームで認識を合わせます。 - 「忘れた」経験を責めずに共有できる文化をつくる
「実は今日こういうことを忘れてしまって…」と打ち明けたときに、
個人攻撃ではなく、「じゃあどうすれば忘れにくくなるかな?」と一緒に考えられる組織風土を育てていきます。
就労継続支援B型のNG行為を減らす第一歩は、「支援員も忘れる」という当たり前を認め、仕組みの話ができるチームになることだと感じています。
NG行為2:スタッフ間の情報共有が不十分で、同じ利用者への説明がバラバラになる
「言ったつもり」「伝わっているはず」が生むズレ
就労継続支援事業所には、職業指導員・生活支援員・管理者・サービス管理責任者など、さまざまな立場のスタッフがいます。
その中で、次のようなズレが起きていないでしょうか。
- スタッフAとスタッフBで、同じ利用者への声かけの内容が違う
- 利用者さんから「前はこう言われたのに、今日は違うことを言われた」と指摘される
- 家族への説明と、現場スタッフの認識が噛み合っていない
こうしたズレは、支援員一人ひとりが悪いというよりも、情報共有の方法が「感覚頼り」になっていることが大きな原因です。
「前の会議で話しましたよね」「ノートに書いておきました」は、実はとても危険なサインかもしれません。
利用者・家族から見える「不安と不信」の構図
情報共有のズレは、利用者さんやご家族にどんな影響を与えるでしょうか。
- 「誰の言うことを信じればいいのか分からない」
- 「ルールがよく変わる事業所だな」と感じてしまう
- 「もしかして、裏で話が噛み合っていないのでは?」という不信感が生まれる
特に、支援や制度に不安を抱えながら通所されている方や、初めて福祉サービスを利用するご家族にとって、
「スタッフによって言うことが違う」状態は、安心感を大きく損なう要因になります。
「誰が説明しても同じ」状態をつくる工夫
就労継続支援B型の現場で、情報共有のNGを減らすためのポイントは、「見える化」と「仕組み化」です。
- 利用者ごとの「支援方針シート」を1ページでまとめる
配慮事項・声かけのコツ・現在の目標・家族との約束事などをA4一枚に整理し、
職員室や共有クラウドなど、誰でもすぐ見られる場所に保管します。 - 変更点は「その場で」「日付付き」で残す
「なんとなく変わった気がする」ではなく、
「〇月〇日から欠席連絡のルールをこう変更します」と日付とともに記録する習慣をつくります。 - 利用者さんの前で確認してもいい文化にする
「いまの件、念のためサビ管にも確認してみますね」「〇〇さんにも同じ説明をしておきますね」と、
その場で確認する姿を見せることで、事業所内で連携しながら支援していることを可視化できます。 - 「説明のすり合わせミーティング」を定期的に行う
月1回でも、「最近こんな説明をしているけれど、他のスタッフとズレていないか」を話し合うミニ会議を設けます。
大きな会議ではなく、10〜15分の共有時間から始めるのも一つです。
情報共有のNGは、「気をつける」で防ぐことはできません。
構造としてズレにくい仕組みをつくることが、就労継続支援B型における支援の質を守る土台になります。
NG行為3:記録や情報共有に集中しすぎて、利用者が話しかけづらい空気をつくってしまう

「記録が大事」だからこそ起こる、もう一つの影響
障害福祉サービスでは、記録やモニタリングは非常に重要です。
加算や実地指導の観点からも、就労継続支援事業所の記録は「やっている支援を見える化する」ための大切な証拠になります。
その一方で、記録に追われるあまり、
- パソコンやタブレットに向かっている時間が長くなる
- 気づけば、利用者さんより画面を見ている時間の方が長い日がある
- 「今話しかけて大丈夫かな…」という空気を無意識につくってしまう
という状況が生まれてしまうこともあります。
就労継続支援B型では、「支援」と「記録」のバランスに悩んでいる事業所も多いのではないでしょうか。
利用者さんの心の声:「忙しそうだから、今日はやめておこう」
支援員が画面に向かって真剣な顔をしていると、利用者さんの中にはこんな気持ちが生まれます。
- 「今、何か大事なことをしているのかな」
- 「話しかけたら邪魔かもしれない」
- 「相談したいけど、今日はやめておこう」
その「やめておこう」が1回で終われば良いのですが、
何度も続くと、「ここでは本音を話さなくてもいいや」という諦めや、「どうせ忙しいから」という距離感につながってしまうこともあります。
記録と対話を両立させるための具体的な工夫
記録は減らせません。しかし、記録の「やり方」と「見せ方」を工夫することで、利用者さんが話しかけやすい雰囲気を保つことはできます。
- 記録の前後で、ひと言そえる
「ゆっくりお話しを聞きたいので10分後にお聞きしてもいいですか?」など、
「無視しているわけではない」ことを言葉にして伝えます。 - 記録時間をまとめて確保する
常に作業の合間に少しずつ書くのではなく、「この10分は支援員全員で記録時間」と決める。
「いつ話しかけていいのか」が分かりやすくなります。 - 記録中でもアイコンタクト・うなずきを大事にする
画面ばかりを見るのではなく、声をかけられたら一度顔を上げて目を見る。「後で行きますね」と言うときも、
相手の目を見てうなずくだけで、「ちゃんと聞いてもらえた」という感覚は大きく変わります。 - 「いつでも相談していい時間帯」をはっきり伝える
「作業中でも、困ったときはすぐ声をかけてくださいね」
「午前中のこの時間帯は、相談や質問を優先して対応します」といったメッセージを、
口頭や掲示で共有しておくのも一つの方法です。
就労継続支援B型では、「記録の質」と同じくらい、「話しかけてもいい雰囲気」をどう保つかが大切だと感じています。
支援員は完璧じゃなくていい――だからこそ必要な「仕組み」と「対話」

ここまで、就労継続支援事業所で起こりがちな3つのNG行為、
- 「ちょっと待ってください」と言ったまま忘れてしまう
- スタッフ間の情報共有が不十分で、説明がバラバラになる
- 記録に集中しすぎて、利用者が話しかけづらい空気をつくってしまう
を見てきました。
どれも、支援員がサボっているからでも、やる気がないからでもありません。
むしろ、「一生懸命やろう」とするほど、マルチタスクになり、人間としての限界にぶつかるからこそ起こるNG行為です。
大切なのは、支援員一人ひとりの人格や能力を責めることではなく、
- 人は忘れるし、揺らぐし、間違える
- だからこそ、仕組みとチームワークで支援の質を守る
という視点を、就労継続支援B型の中に根づかせていくことではないでしょうか。
まとめ――「ついやってしまうNG行為」に気づける事業所は、変わっていける事業所
最後に、この記事のポイントをあらためて整理します。
- 就労継続支援B型の現場には、悪気なく起きてしまうNG行為が潜んでいる
- 代表的なNGは、「ちょっと待って」と言ったまま忘れる/情報共有のズレ/記録に偏りすぎて話しかけづらい空気をつくること
- いずれも、支援員個人の意識だけで防ぐのは難しく、仕組みと文化づくりが不可欠である
もし、この記事を読みながら「うちの事業所にもあるかも…」と感じたとしても、それは決して恥ずかしいことではありません。
むしろ、小さな違和感に気づき、「言葉」にできる事業所は、必ず変わっていける事業所だと私は思っています。
この記事で取り上げたNG行為は、きっとどこの就労継続支援B型にも、大小の差はあれ存在します。
だからこそ、「誰のせいか」ではなく、
- どうすれば忘れにくくできるだろう?
- どうしたら説明のズレを減らせるだろう?
- どうすれば記録と対話のバランスをとれるだろう?
という問いを、スタッフ同士で穏やかに話し合える場をつくっていけたら、それ自体がすでに大きな一歩です。
あなたの事業所では、どんなNG行為が「ついやってしまっていること」として隠れているでしょうか。
そして、それをどんな仕組みで減らしていけそうでしょうか。
この記事が、現場での対話のきっかけになれば、とてもうれしく思います。

はじめまして、サービス管理責任者の本多 楓です
Lumo岡山東区店で働きはじめてわずか半年。
――その間に、利用者さんの「できる」を伸ばしながら黒字化という目標を達成しました。
定員20名なのに見学待ちの行列。
毎週のように「次、空きはありませんか?」とお問い合わせをいただき、嬉しい悲鳴をあげています。
どうして行列ができるの?
- “支え合う”という文化
ここでは「助ける/助けられる」ではなく、みんなが支え合うことを大切にしています。
だからこそ、一人ひとりが自分らしく挑戦できる空気が生まれます。
▶ 就労継続支援B型事業所 Lumo岡山東区店(公式サイト)
- 仕事を“楽しく”設計
ゲーム実況やSNS運用、ものづくり作業など、得意を活かせる多彩なタスクを用意。
「やってみたい!」が自然に湧きあがる現場です。 - 数字で見える成長
初月から工賃を可視化し、スタッフ・利用者さん・ご家族が同じゴールを共有。
成果が見えるから、次のチャレンジが楽しみになります。
これからブログで発信すること
- 利用者さんの成長ストーリー:
小さな一歩が未来につながる瞬間をレポートします。 - Lumo流“黒字化メソッド”:
就労継続支援B型でもしっかり収益を上げる仕組みを公開。 - 地域を巻き込むアイデア:
見学者の行列を“地域の魅力”に変える取り組みを紹介。
最後に
「みんな違って、みんながいい」――
そんな社会を、ここ岡山から広げていきたい。
これは私の原動力であり、Lumoの未来です。
ブログでも、現場で起きるリアルな“ありがとう”をたくさん綴っていきますので、どうぞお楽しみに!